こんにちは。
あおば台デンタルクリニック、院長の青木です。

厚生労働省が発表した「人口動態統計月報年計（概数）」によると、2022年に誤嚥性肺炎が原因で亡くなった人は5万6,068人です。70歳以上の肺炎患者の7割以上が誤嚥性肺炎であり、高齢者にとって非常に身近な病気です。
今回は、誤嚥性肺炎のリスクを減らし、健康な日々を過ごすために役立つ口腔ケアについてお話しします。

誤嚥性肺炎とは

誤嚥性肺炎は、食道から胃へ向かうはずの食べ物や唾液などが気道内に入り、肺炎を引き起こす病気です。高齢になると喉の筋肉が衰え、食べ物を噛む力や飲み込む力（嚥下機能）が低下し、誤嚥を起こしやすくなります。

誤嚥性肺炎の主な原因は肺炎球菌で、クレプシェラ菌や緑膿菌、MRSA（黄色ブドウ球菌）なども含まれます。食べ物に含まれるこれらの菌が気道から肺へ侵入することで発症します。

口腔ケアの重要性

誤嚥性肺炎を予防するには、口腔ケア行うことが重要です。口腔ケアは、歯みがきやうがいで口内を清潔に保つだけでなく、口腔内の働きを良くして嚥下機能を向上させるリハビリなども含まれます。
この口腔ケアには、「器質的口腔ケア」と「機能的口腔ケア」の2種類があります。

器質的口腔ケア

器質的口腔ケアは、歯ぐきや舌、頬の内側などの汚れを取り除き、口腔内を清潔に保つためのケアです。これにより、肺炎の原因菌を減らすことができます。

機能的口腔ケア

機能的口腔ケアは、お口の機能を回復させ、維持・向上するためのケアです。これにより、食べ物や唾液がうまく飲み込めるようになり、円滑なコミュニケーションにもつながります。よく噛み、よく話すことで脳に刺激を送り、メンタルの安定にも良い効果が期待できます。

機能的口腔ケアの実践例

機能的口腔ケアの代表例として「嚥下体操」と「パタカラ体操」があります。深呼吸をし、首を前後左右にゆっくり動かし、肩を上げ下げして回します。背伸びをして口を大きく開閉し、舌を出し、咳払いをします。これにより、首や肩周辺の筋肉をストレッチし、体の緊張を緩めて動きやすくする効果があります。

「発声練習」も機能的口腔ケアの一つです。「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音することで、唇や舌を動かし、唇や舌の動きを目的別にトレーニングします。食べるとむせたり、うまく飲み込めない症状がある方は嚥下障害の可能性があります。

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